浮気女の嫁入り大作戦
泡がへたれるまで湯船に浸かりめいっぱい汗をかいた奈緒は、風呂から出るなり手を腰に当てて缶入りのスポーツドリンクをガブガブ飲む。
一気に空になったところで、頭にタオルを巻きベッドにダイブした。
胃がタプンと音を立てたその時。
ピーンポーン……
予期せぬ来客に顔をしかめる。
(どうせ宗教の勧誘か何かの営業よ)
どうやら居留守を使うつもりらしい。
もう一度呼び鈴が鳴ったが、奈緒は息を潜めてベッドから動かない。
すると今度は携帯が鳴り出した。
発信元は沢田だ。
(こんな時に何なのよ)
奈緒は携帯ごとベッドの中へ潜り、ごく小さい声で電話に出た。
「もしもし?」
「いるんだろ? 開けてよ」
なんと、呼び鈴を鳴らしたのは職務中の沢田だった。