浮気女の嫁入り大作戦
無愛想な顔でドアを開けると、傘とコンビニ袋を持った沢田が立っている。
「あれ? 風呂入ってたの?」
「そうよ」
「体調は?」
「何ともない」
飄々とする奈緒に呆れ顔を見せた沢田は、
「なんだ。サボりかよ」
とぼやいてコンビニの袋を差し出す。
中には飲料と食料が入っていた。
体調を崩したと思って差し入れを持ってきたのだろう。
「とりあえず、入る?」
「せっかくだし、お邪魔しようかな」
彼の少し雨に濡れた肩をタオルで拭い、部屋へと通す。
沢田がここに来るのは、樹と鉢合わせたあの日以来だ。
奈緒は手際よくインスタントのコーヒーを淹れ、テーブルの彼と向かい合って座った。
「で、毎熊さん。サボりの理由は?」
「別に。ただの寝不足よ」
「はぁ? それだけ?」
「そうよ。寝不足は美容の大敵なの」