浮気女の嫁入り大作戦

「絶対その人と結婚したいんじゃなかったの?」

 奈緒は再びこくりと頷く。

「それって、海外転勤ごときで揺れる程度の気持ちだったんだ」

「え?」

 海外転勤……ごとき、だと?

 こいつ、インドの遠さを知らないというのか。

「あの人と結婚するって決めてるなら、待つでも別れるでもなく、ついていく! ってくらいの気持ちが必要なんじゃない?」

 なんと、ここで新しい選択肢が出てきた。

 ついていく。

 俺ですら思い付かなかった。

「ついていく……なんてできるかなぁ?」

「結婚すりゃついていけるっしょ」

「結婚って、あたしたちまだ……」

「所詮紙切れ一枚でしょ。7月まで、まだ少し時間があるし。こうなったら毎熊さんから言うしかないんじゃない?」

 逆プロポーズということか。

 しかしそれは、最後の賭けということになる。

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