浮気女の嫁入り大作戦

 いつも活力に溢れているように見える彼女。

「先輩、いつも元気じゃないですか」

 体にガタが来ているとはにわかに信じがたいが。

 しかし、人には他人には見せない部分が少なからずあるものだ。

「あたしに子供ができなかったのは……その無理がたたって、体を壊したからなんだ」

 ……なるほど。

 さっきから赤ん坊が嘆いていたのは、そういうことだったのか。

「そうだったんですか……」

「そ。だから無理なんてしちゃダメよ、奈緒ちゃん。相手なんて、きっとそのうち湧いて出てくるんだから」

「はい」

 会話が少ししんみりしてしまったが、真琴は佐和子の言葉の細部を聞き逃してはいなかった。

「でも佐和子さん、さっき子供ができなかったって、過去形で言いましたよね?」

「そういえば。先輩、もしかして……」

 佐和子の顔が、笑顔に変わる。

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