浮気女の嫁入り大作戦
沢田はめんどくさそうにボリボリ頭を掻いて、
「アンタね、バーで酔い潰れてたの。俺がたまたまあのバーに入って、ここまで連れてきたんだよ」
覚えのない話に、奈緒は自分がとことん情けなくなった。
「マジで……? てか何であの店に来たのよ」
「あの店、一応俺の行きつけ」
「そうだったの……」
痛む頭を支え、何とか思い出そうとしてみるが、結局何も思い出せない。
化粧もしたままだし、服はしわしわだし、みすぼらしい自分に悲しくなった。
「あたし、シャワー浴びるね」
そう言って慣れたようにブラウスを脱いだ。
スカートに手をかけたとき、はっと気付く。
沢田とは関係をやめたのだと。
それまでは何も気にせずに脱いでいたが、今となってはどうしていいのか戸惑っている。
「どうした? 気持ち悪いの?」