浮気女の嫁入り大作戦

 気持ち悪いのは間違いないが、奈緒は首を横に振る。

「いや、なんか恥ずかしくて」

「はぁ? 今更?」

「だって……」

 まごつく奈緒を見かねて、沢田はベッドを下りた。

 そしてポットで湯を沸かし始める。

 コーヒーの準備である。

「今更毎熊さんの裸なんかじろじろ見たりしないって言ってんの」

「あっそ」

「時間に制限があるんだから、さっさと入ってよ」

「……はいはい」

 冷たくあしらわれた奈緒は、拗ねながらバスルームに入った。

(なんかムカつく)

 怒ると頭がツーンと痛んだ。

 短期は損気なのだ。

 冷たく接する沢田。

 その一方で、彼に手をそえている花枝の顔は穏やかだ。




 バスルームを出ると、コーヒーのいい香りが部屋に広がっていた。

 沢田は大画面のテレビでニュースを見ながらコーヒーをすすっている。

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