浮気女の嫁入り大作戦

　沢田との付き合いは樹よりも長く、かれこれ２年半になる。

　入社してというよりは出会って半年ほどで脱がせ合う仲になったのだ。

「そんな酷いこと言うなら黙らせるよ」

「ああ、もうっ」

　またじゃれ合い始めた二人は、こうして見ているととても仲の良いカップルに見える。

　だが二人はあくまで「会社の同期」という関係を壊すことなく、互いを「毎熊さん」「沢田くん」と呼び合い、月に１～２回ほどこっそり肌を重ねているのだ。

　浮気観念が世間とズレてしまっている奈緒は、樹に対して全く罪悪感を感じていない。

「私が浮気するのは樹が満足させてくれないから」

　と、さも当然かのようなスタンス。

　不満があるくせに絶対に樹と結婚したいという。

　完璧な人間はいないのだから、それはいい。

　浮気をしているくせに自分が彼女として完璧だと思っているあたりが問題なのだ。

　このイタい女め。


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