浮気女の嫁入り大作戦
俺はベッドで盛り上がり始めた二人を見守りながら、自分の用事に専念することにした。
俺は人間の霊だ。
奈緒にも沢田にも樹にも、見えてはいないらしい。
しかしたまに見える人間がいるらしく、俺を見るなりビビったり、逆に微笑まれたり、霊だと気付いていないのか避けて通ったりされる。
霊だからといって、俺にも全ての霊が見えるわけではない。
波長が合うものだけを見る……というよりは感じることができるのだ。
奈緒と沢田は年甲斐もなく猿のように交わり合い、二人とも力が尽きたように眠ってしまった。
「樹……」
ネックレスが光る沢田の胸の中で(寝言だが)樹の名前を呼んでいる。
沢田に対してはまるでデリカシーのない奈緒。
不謹慎極まりない。
もしも俺の声が届くならば、目一杯説教をしてやりたいものだ。