浮気女の嫁入り大作戦

 さすがに驚いた。

 まさか死んでから再会できるなんて思ってもみなかった。

 神や仏は俺を見捨ててはいなかったのだと。

 奈緒に憑いたのはこういう巡り合わせなのだと。

 嬉しさのあまり、霊ながらに涙が出た。

 あの世で会うなんて言われるが、それってこういうことなのか?

 やはり生きている人間は憑いている霊に運命を左右されるのだ。

 俺は花枝に飛び付く勢いで向かっていったが、実際にぶつかったのは奈緒と沢田だった。

「あ、ごめん。なんかふらっとしちゃって」

 久しぶりに奈緒を動かすことができたが、俺は再び試練を与えられた。

「え? ふらふらしてんの? 大丈夫?」

「うん、大丈夫」

 そんな二人の様子を優しく見守る花枝には、俺が見えていないらしいのだ。

呼び掛けても聞こえていないし、触れようとしても空を切るだけ。

 生きている頃は、あんなにも話し、触れ合っていたというのに。

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