浮気女の嫁入り大作戦
沢田は細い目を開いて驚いていたが、奈緒はそれをまたバカにするように笑った。
「いいじゃない、女が浮気しちゃダメだって誰が決めたのよ」
「いや、男女関係なく浮気はダメだと思うよ」
「何よ。沢田くんは浮気したいとか思わないわけ?」
「するかどうかは別にして……男で浮気願望がない奴なんて、ほとんどいないと思うけど」
「でしょ? 浮気の一つくらい甲斐性よ」
顔を真っ赤にしながら浮気を語る奈緒は、沢田の目にどう映っていたのだろうか。
少なくともこの時点で下心が芽生えていたのを、俺は見逃していない。
この二人がくっつけば、俺が花枝と一緒にいられる時間が長くなる。
くっついてしまえ!
と願っていると、酔った奈緒が沢田を誘惑し始めた。
「浮気しちゃおうよ」
「はぁ? 相手がいないよ」
「いいじゃん、この際あたしで」
「ちょっ、毎熊さん、飲みすぎだよ……」