君が嘘をつく理由
春の記憶

君と僕の居場所



ある晴れた真夏の日曜日のこと。


「行ってきまーす」


あたしはぼろぼろのTシャツにジーパンという女の子とは思えない格好の上に、またまた青いエプロンをして家の階段を駆け降りた。

「ねーちゃんまた店の手伝いかよ」

「夏翔(ナツト)、今日も夜遅くなるからってお母さんに伝えといて」


ふーん、とどうでもよさげにまた見ていたテレビを見だす、ただいま絶賛反抗期中の弟に伝言を任せて私は家を飛び出した。

家を出た瞬間蝉の鳴き声とむわっとした風が一気におそいかかってきて、つい一瞬中に戻ろうかと思ってしまう。

そんな気持ちを押し返すかのように、目的地に向かって走りだした。




「おばあちゃん!」

「夏香(ナツカ)、また手伝いに来てくれたのかい」

「夏休みは毎日来るって約束したから」
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