素直にカエル3 ~先生と卒業式~



ハァハァと息が乱れる私を、その人はニヤニヤしながら見つめる


「なんだ?そんなに忙しいでどうしたんだよ」


優しい瞳


寝癖のついた髪


童顔な顔



間違いない




「…せんせ」


「なんてな。よく頑張ったな」



気がつけば、私は先生に強く抱きしめられていた


家にはお母さんがいるかもしれない


なのに


靴を脱ぐことも、先生がスリッパなのも忘れて玄関で抱きしめあった



間違いないね


この匂い


せっけんみたいな、優しい匂い



私の大スキな匂い



「先生…ごめんね…」


「何がだよ。オレこそごめんな。お前のことまた泣かして…」


「違うよ。先生は悪くない…」



謝っては、謝って…


やっぱり私と先生はおかしな関係





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