素直にカエル3 ~先生と卒業式~
行き先はどこでもよかった
ただ先生の隣のこの席に座れて、先生の顔が見れるなら…
これ以上望むものなんかない
「どうしよっか。適当にドライブでいいか?」
「うん。先生にもちゃんと話したいから、どこか話せそうなとこがいいな」
私が言うと、先生は黙ったまま頷いた
今日の先生は特別優しい
何も聞いてこないのは、きっと私から話し出すのを待ってくれているから
私がしっかり話をまとめて、決意をしたら、先生はきっと聞いてくれる
『どうだった?』って…
「もうすっかり春だなぁ~」
「まだまだ寒いよ。カイロ必要なくらいだもん」
私はポケットからミニサイズのカイロを出して先生に見せた
先生はふぅんと興味なさげに鼻を鳴らした
「南寒いのか?」
「へ?そりゃまぁ…少しは」
いくら3月とはいえ、まだ風は冷たい
車から出たら、カイロなしでは歩けない