素直にカエル3 ~先生と卒業式~
「今日はもう帰ろう?僕が送るからさ?」
やっと落ち着いた私を見て、先生は微笑んでくれた
勝手に泣いて、迷惑ばっかかけてるのに…
「福井先生!ほんと大丈夫なんで!」
「そんな赤い目をして帰るつもり?電車で?」
私は近くにかけられた鏡に映る自分を見た
目は真っ赤
鼻はズルズル…
「…お願いします」
「ふふふ…。じゃ、下の職員玄関にいてください」
福井先生と私は荷物をとりに別れた
もう校舎内にはほとんど人がいなかった
外ではサッカー部や野球部が大きな声を出して、汗を流していた
遠くからは吹奏楽の音色
まるで、中学時代に戻ったようだった
あの頃はまだ、こんな風に誰かをスキになって、苦しむなんて思いもしなかった
幸せだった