花みずき
「みんな花の名前なんだなって思って。」

私は四人をじーっと見つめる。

「あ~そういえばそうだね。」

あやめちゃんと桜ちゃんは笑ってそう言う。

でも私は少し悲しくなった。

だって花の名前は四人だけだから。

私の名前には「花」はあるけど、花の名前がない。

ただの名前だから別にそんなにこだわらなくてもいいんだけど。

でもやっぱり少し悲しいや。

皆との共通点に自分だけないって言うのは。

「四人だけじゃないじゃん。」

椿君は私に笑ってそう言った。

「えっ?」

私は椿君を見た。

「私は「花」は苗字に入ってるだけで花の名前は・・・」

「花みずき。」

椿君は私の言葉を遮って言った。

「花みずきって入ってるじゃん。」

私は目を見開く。

だって今までそんな風に言われた事なかったから。

「俺、今日から立花の事「花みずき」って呼ぶから。
 花みずきも俺の事、「ハル」って呼んで。」

「・・・うん。」

私は小さい声で返事をした。

これが物語の最初の1ページ。

目立たない地味な私が「花みずき」と呼ばれた日。

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