花みずき

プロローグ

今日は何だかついていない。

せっかくの花咲高校の入学式に行く途中、雨が降ってきた。

「あちゃー。傘持ってないよー。」

駅の前でそう呟くのは私、立花みずきだ。

高校に入学したら、友達をたくさん作ろうってはりきっていたのに・・・。

中学では友達なんていなくて、私なんかいなくてもいい存在だったから。

高校では頑張ろうって思ったけど、朝から雨が降るなんて何だか不吉な感じ。

私は思わずため息を漏らした。

この雨じゃ制服が濡れちゃうな。どうしよう。

私は降り続ける雨を見つめながら考えていた時、「すいません。」と

誰かに声をかけられた。

私はゆっくり振り向くと、同じ花咲高校の制服を着ている男の子だった。

「な・・・なんですか?」

緊張して声が震えてしまう。

だって、男の子に平気で声かけられるなんて初めてだったから。

「あのさ、これから花咲高校の入学式に行くんだよね?」

わたしは首を縦に動かす。男の子は話を続ける。

「俺傘一本あるから、よかったら中に入らない?それならお互い濡れないじゃん。」

男の子はそう言って笑った。

私は男の子の顔をじーっと見てしまった。だってあまりにも自然だったから。

私は昔から笑う事が苦手であまり笑う事がない。

無理して笑っても「気持ち悪い」と言われるだけ。

私もこの男の子みたいに自然に笑えれば、友達が出来るかな・・・。

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