意地悪なキミと恋の勉強


「俺、一途じゃないヤツは無理。

それに……

今、夢中なヤツがいるからさ」




夢中なヤツ


それは

誰のことを思って言ってる?



まさか………


俺は、さっきまで一緒にいた

可愛い女を
脳裏に浮かべていた。




……久しぶりだ


いや、初めてだ。



こんなに


心臓が


身体中がドキドキする感覚は。





「……それって

船橋さんのこと?」


「………」




突然なんだ。

なんで、知ってる…?


俺は、動揺を隠そうと必死。



瑞希はそんな
俺をわかったように

楽しそうな表情をしている。




「さっき、下駄箱で
朱里を待ってたね。

でも、帰っちゃったよ?」



「……え…」




俺に近づき

肩を触ってくる。



……李呼…?




「なんか、杏奈が

なんか言ってたみたい」



「……チッ…」




杏奈か……


ったく、面倒なことすんな。




「…わり、帰る」


「……」




俺は


瑞希を階段に残したまま

走った。



.
< 42 / 371 >

この作品をシェア

pagetop