詠い人
「こーかちゃん!危ないっ」
咲良が叫ぶ。
次の瞬間、衝撃が走り、世界が反転した。
視界が暗転するする直前に見えたのは、幻歌の喜びに溢れた笑顔だった。
「楓!」
誰の声か、僕にはわからなかった。
「まあ、ウタちゃんが死んだのは6歳のときでしたからねー……」
光華が苦笑する。だけど僕はまったく笑えない。
しっかりと後ろから幻歌に抱きつかれているからだ。
さらに咲良から睨まれていて、うかつに動けない。
「楓くん、大きくなったね。すっごく久しぶりな気がする!私のこと、覚えてるよね?ねっ!?」
「う、うん……架南、なんだなよな。本当に……」
改めて架南の名前を呟くと、どうしようもない愛しさがこみ上げてきて、幻歌の腕に触れた。
幻歌はくすぐったそうに笑う。
「うん。でも、今は幻歌だから。楓くんにもらったこの名前が、私の名前なの」
「で、光華さん」
「はい、なんでしょう?」
いいつつ、光華は視線をそらす。
「全部、教えてくれますよね?」
「……」
咲良は無言で光華を睨む。
光華は観念したように、ため息をついた。
咲良が叫ぶ。
次の瞬間、衝撃が走り、世界が反転した。
視界が暗転するする直前に見えたのは、幻歌の喜びに溢れた笑顔だった。
「楓!」
誰の声か、僕にはわからなかった。
「まあ、ウタちゃんが死んだのは6歳のときでしたからねー……」
光華が苦笑する。だけど僕はまったく笑えない。
しっかりと後ろから幻歌に抱きつかれているからだ。
さらに咲良から睨まれていて、うかつに動けない。
「楓くん、大きくなったね。すっごく久しぶりな気がする!私のこと、覚えてるよね?ねっ!?」
「う、うん……架南、なんだなよな。本当に……」
改めて架南の名前を呟くと、どうしようもない愛しさがこみ上げてきて、幻歌の腕に触れた。
幻歌はくすぐったそうに笑う。
「うん。でも、今は幻歌だから。楓くんにもらったこの名前が、私の名前なの」
「で、光華さん」
「はい、なんでしょう?」
いいつつ、光華は視線をそらす。
「全部、教えてくれますよね?」
「……」
咲良は無言で光華を睨む。
光華は観念したように、ため息をついた。