ACcess -焔-
そうだ。その違和感。

何故、宝部屋ではない方向から一人でやってきた?


そして最大の違和感。


初め、仕掛け部屋で見た服装はラベンダー色を基調とした紫系統で揃えられていた。
そう。今出会った時もその色だった。

では、自分達がさっき…追い掛けて見たものは?
曲がり角で見たのは…確かにあの術士だった。

同じアバターで装備の色だけ違う?
有り得ない事もない…。
しかし、何かがおかしい。
何かが…。
「…ドンクレ、大丈夫?」
あちらに何かあったのか…それとも自分達を惑わす為?


しかし、先ずはここから離れる方が先だと、軽く首を傾げる君に微笑んだ。
「やっぱし、笑ってる方が似合うなっ!」
何故かそう言われて驚いた。

今までに何度か聞いた事があるセリフだったが、今更驚く理由は分からない。

ただ笑っているではなく、自分的には微笑んだだけだったのだが…。
微笑みも笑うのも、口角が引力に反するから一緒なのか?

何も面白いなどと思ってないけれど…?

まぁいいか。君がそう言うのなら、いくらでも僕は笑おう。
歪んだ微笑みで。


君はまた自分の手を引いた。
「じゃあ、せっかくだから宝部屋に行って帰ろっ!」
今度こそ、自分は笑ってみせた。
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