百花繚乱〜暗黒街花屋敷炎上絵巻〜
■約束
「いい時期に帰って来たねー」
「月影島では
見られなかったのか?」
「うん。
季節が違う時に行ったから」
「そうか。
でもまた来れてよかったな!」
「夜桜もいいけど、
やっぱ普通に昼間の方がいいや」
「そうだな!
この光景も最近やっと
見慣れてきたな」
「そういえば………
なんで髪黒いの?」
「その台詞そっくりそのまま
返していいか?」
「あたしはー!
……ちゃんと説明したじゃない」
「わかってるよ。
俺は元がこれなだけだよ」
「偽りなしってやつ?」
「そんなとこだ」
「じゃあ東雲サンなの?」
「いや………
そっちはそのままだ。
ゼファとして
長くやってきたからな。
今さら馴染みが悪いだろ」
「それもそうだ!
でもなんか変な感じ」
果たされなかった約束は
幾つもの年月を越えて
果たされた。
姿は変われど
気持ちに変わりはない。
成就するかも危うかった想いも
ここで永遠に変わっていく。
あの頃見られなかった
笑顔は今では
満開に咲き誇っている。
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