『好き』を教えて
「私…ここ初めて入るんです。それで珍しくて…」

「今まで生きてて初めて!?高野っていくつだっけ?」

「20才です…」

木下さんのものすごい驚きぶりに何だか恥ずかしくなってきた。

「高野ってバイトも初めてだったんだろ?ある意味恵まれてんな」

「そうでしょうか…」

店員さんが置いたどんぶり鉢を見つめながら小さく答える。

「ま、食ってみれば?」

「はい」

うわー、お肉がてんこ盛り。
全部食べれるかな?

恐る恐る口に運んでみた。



「美味しい…」

「高野の口に合ってよかったよ」

面白そうに私を見て、木下さんは勢いよく食べ始めた。




「ご馳走様でした」

「安過ぎて礼を言われる方が申し訳ないな」

「いえ!初めて来れたし、美味しかったし嬉しいです」
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