『好き』を教えて
こんな機械にあんな顔するヤツなんて高野以外いない。
まぁ、初日に火傷したからな…。
とゆーか火傷するヤツなんて今までいなかったし。



「慎、あの子どう?」

店長が高野に視線を向けて俺に訊ねた。

「鈍臭いっすよ」

「バイトするの初めてって言ってたからね」

店長は我が子を見守るような優しげな目をしている。

俺がここに入った時はそんな顔してなかったぞ。
もっと、鬼瓦のよーな…。

「初めてでも、もっと要領いいヤツは今までもいましたよ」

「そうだな。ま、仕事増やして悪いけど頼んだぞ」

「へ―い」

俺はバイトではなく一応社員だ。
店長不在の時は店長代理でもある。
バイトの教育も俺の仕事の内ってこった。


「木下さん、終わりました」

積まれたビニール済みのコミックを横目で見た俺は次の指示を出す。

それを受けてせっせと仕事をこなす高野。

まぁ、鈍臭いけど真面目なんだよな。

遠目に眺めていると若い男が高野に声をかけていた。
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