『好き』を教えて
「嫌だなんて…。助かりますけど…これ以上、木下さんを付き合わせられません」

「寝ないで遊びに行く事だってあるんだから平気だよ。それに、今帰っても気になって眠れねーと思う」

笑ってそう言うと、やっぱり心細かったのか高野は頷いた。

「ありがとうございます」

高野の頭を軽く叩くと片付けに取りかかった。




「何か大事なもんとか無くなってないか?」

「いえ…今のところは特に…」

どうやら喧嘩の腹いせに部屋にあたっただけらしい。

見た目は凄かったけど、片付け始めるとわりとスムーズに進んだ。

これなら昼前に帰れそうだ。


予想通り、昼前に片付いた部屋を見回して高野に告げる。

「念のために鍵を交換しといた方がいいぞ」

「あ、はい。不動産屋さんに連絡します」

そう言ってすぐに不動産屋に電話をしている高野の後ろ姿を見てると、部屋が片付いた安心感も手伝って急に眠気が襲ってきた。

こんなとこで寝る訳にはいかねーだろ!

頭ではそうわかってるのに目の方は言う事を聞いてくれない。

俺はネジの切れた人形のようにその場で眠り込んでしまった……。
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