『好き』を教えて
「おはようございます」

「おはよう」

高野の挨拶に少しぶっきらぼうに返す。

そんな俺の態度に高野の顔がほんの僅か曇った。

そんな顔すんな。
俺の決心が鈍る。

俺は高野から視線を外すとパソコンに向き直った。



店内が映るモニター画面に時々目をやるが、無意識に高野を探す自分に髪をかきむしる。

何やってんだよ、俺は!

店内の高野は普段と変わった様子もなく、時折バイト仲間と談笑したり。

そりゃ、高野は俺を何とも思ってないんだから変化なんかあるはずない。

一人でテンパってる俺って正真正銘のバカだ。

「慎?具合でも悪いのか?」

鬼瓦店長が俺の様子を窺うように訊ねてくる。

「いえ…何でもないっす」

「疲れてんのか?お前ちょっと働き過ぎじゃねーか?」

気遣う店長に苦笑いで答える。

「店長よりは楽してますよ。ちょっと店内見て来ます」




「木下さん!今日終わったらみんなで飲みに行こうって話してるんですけど一緒にどーですか?」

バイトの古株の女の子に誘われた。

「そう言って俺に奢らせようとしてんじゃねーの?」

笑う俺に大げさに手を振る。
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