『好き』を教えて
「木下さん…私の事嫌いですか?」

唐突な言葉と酒で潤んだ目で見つめられて身体の奥が熱くなる。

「いや…」

「今日何だか冷たくされた気がして…悲しかったです」

「気のせいだろ」

高野を特別扱いしないと決めたのもあって、今日はぶっきらぼうに対応した事を気にしてるのか?

「私…木下さんに迷惑ばかりかけて…嫌われちゃって当然ですね…」

「だから、嫌ってねーって!」

「それなら…」

俺を掴む手に力を込めて高野は口を開いた。

「嫌いじゃないって…証拠見せてください」

「酔っ払いの戯言なんていちいち聞いてられねーよ」

「木下さんの嘘つき」

高野の言葉に何故かカチンときた。


「…嫌ってないって証拠見せればいいんだな?」
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