『好き』を教えて
事務所でシフト表を眺めて小さく安堵のため息をつく。

高野は今日、明日と連休になっていたから。

昨日、あんな事しといてさすがに平気な顔を出来る自信がない。

「慎。ため息多いぞ」

知らず知らずのうちに出ているため息を店長に指摘される。

「そうっすか?」

「何だ?悩み事でもあるのか?」

「まぁ…いろいろあるんすよ」

言葉を濁す俺に店長は大して興味もなさそうに鼻を鳴らした。

「仕事大好き、完璧主義のお前でも悩みはあるのか」

「別に仕事好きでも完璧主義でもないですよ。仕事しかする事がないだけで」

店長が上目遣いでニヤニヤ笑う。
中年の上目遣いなんてキモいだけだって!

「ま、仕事に支障のない程度に悩んでくれ。俺は楽して店長をやってたいんでな。さて、ちょっと見回りに行ってくるか」

睨む俺にお構いなしに楽しげに店内に向かう店長を後ろから殴ってやりたい…!
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