『好き』を教えて
時間が近づくにつれて、一度は落ち着いていた気持ちがまたドキドキし始める。

電話して冷たくあしらわれたら?

そう思うと、とても電話する気になんてなれない。

携帯をギュッと握り目を閉じる。

どうする?
どうする?

不安がパンパンに膨らんで少しの刺激で爆発しそう!

でもその不安が私に決心させた。

ずっとこんな気持ちを持ってるのは怖い。
それなら…!

携帯を開き時間を確認すると、震える指でメモリーを表示させる。

画面には木下さんの名前と携帯番号。

大きく深呼吸をして、発信ボタンを押した。


呼び出し音がプツッと途切れて鼓膜に響いたその声に涙が浮かぶ。

『高野?』

「木下さん…」

『…どうした?』

「…………………」

『高野?』

いざとなると言葉が出ない。
頭も真っ白で何を言えばいいかも思い浮かばない。

「会いたい…です…」

結局口から出たのは素直な自分の気持ちだった。

『どこにいるんだ?』

「家に…」

『今から行く』

私の返事を聞かず会話が切れ、ツーツーと鳴る音だけが携帯から響いた。
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