自身
一章

ハローワークには今日も人が溢れていた、金髪の若者やスーツを端正に着こなしている中高年の者、歳をとって歩きずらそうな者。

その人波の中に村山一喜はいた、黒髪の短髪で整った眉、 細長でキレのある目元、誰がどう見ても好印象を持つ青年だ。

「村山さーん、村山一喜さーん、お待たせしました。10番のパソコンをお使い下さい。」

村山は気だるそうに都内の求人情報を検索した、だがすぐにページを閉じ席を離れそのまま外の喫煙所に向かった。

(いつからだっけなぁ、こんなにやる気が起きなくなったの……高校を卒業してもう六年か、本当に時間は早いな、人生なんて一瞬ってよく聞くけどその通りだな、俺はいつ死ぬんだろ?)

村山は都立高校を卒業後、特にやりたい事や夢もなく、せめて人の為に働こうと陸上自衛隊に入隊、四年間在隊していたが飽きやすい性格だったのと任期満了が重なった為退職、その後、飲食業界に就職するも適当な性格が皿の上にも表れ退職、そして今に至っていた。


(そういえば厨房で働いていた時に出会ったネズミは元気にしてるかな?ネズミ取りに挟まれて捨てられてやしないかな)








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