ひとの女を抱いてみた
羨ましさのあまり、空を仰いだ。
こんな胸糞悪い日に限って、雲ひとつない。いわゆる快晴って奴だった。
「うらやましいだろ?」
赤い舌をちろりとのぞかせ、友人は嘲笑った。
僕は友人を無視して、土手の草むらにねっころがる。
青々とした草がやわらかく、僕の身を包む。
それは、とてもキモチよくて、つい思ってしまった。
「お前、今女を抱くとどんなにキモチいいのか想像してるだろ?」
「…どうだったか?」
羞恥心が好奇心に負けて、僕は友人に尋ねた。
「女はいいぞー!ふわって、柔らかいし。それに、なんかいい匂いがする。あとはなー、うーん。お前の妄想力に任せた」
「任せるなよソコ!一番大事じゃねーか!」
肝心なことをにごす友人に、僕は吠えた。
せめて、夜の妄想にぐらいさせてくれ。