私こそ光る☆君 ~ライブツアー編~
ライブツアーがあるからと言って他の仕事に穴をあけるわけにはいかない。

ただでさえ忙しい中、ドラマの成功もあって色んな番組・CM・雑誌から引く手数多(あまた)。

朝の早い時間帯から夜10時くらいまでの間はそれらの仕事をこなし、休む暇もなくダンスや歌の練習に入る。

それから2時間ほぼぶっ通しで歌やダンスの稽古。



歌やダンスはもともと好きだった。

だからつらくても頑張れるはずだった。


だけど一つだけ問題があった。



『バック転しなきゃいけないなんて聞いてないっ!!』


そう、新曲の間奏部分のダンスにバック転が盛り込まれていたのだ。


そして、私はバック転ができない……。

だってあれ頭打ちそうで怖いんだもんっ!!


『側転じゃダメ?

側転なら何回でもできるよっ!!』


ホラホラッとばかりに広い部屋をクルクルと綺麗に側転して回る。

調子にのって回り過ぎると昨日までの練習で疲弊した筋肉が悲鳴を上げ、顔をしかめる。


< 11 / 212 >

この作品をシェア

pagetop