私こそ光る☆君 ~ライブツアー編~
普通の女の子ならまず間違いなくときめいてしまうだろう、美しいその笑顔。

バックに薔薇の花まで背負っている。

しかし、今の私には獲物を目の前にした蛇がゆっくりととぐろを巻きながら舌舐めずりしているようにしか見えない。


「酷いな、僕の顔を見て悲鳴を上げるなんて。

いくら相手が男の子でも傷つくよ……」


そう言って紫水は悲しげに目を伏せてみせる。

長い睫毛が陶器のように白く、なめらかな頬に影を落としている。


これが全て演技だなんて、誰にわかるだろうか?


『ご、ごめん……』


顔を見た瞬間悲鳴を上げたのは自分でも酷いと思う。

だから少し言いにくかったけど、ちゃんと謝った。

それなのに……。


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