私こそ光る☆君 ~ライブツアー編~
『何でもないよ』


そう、何でもない。

遥が急にあんな嬉しそうな顔して笑うから、ちょっとビックリしただけ。


この時の私は自分でも本当にそう信じきっていて、自然に笑っていたと思う。

それなのに由依は私の笑顔を見た途端、ひどく悲しそうな顔をした。



『えっ……』


「あーっ!!

セイくんってばこんな所にいたー!!☆」


“どうしてそんな悲しそうな顔するの?”と尋ねようとした私。

けれど由依に思い切り視線をそらされてしまう。


「んっ……。

もう終わったんだ……」


呑気に伸びをする清龍が恨めしい。


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