私こそ光る☆君 ~ライブツアー編~


「おい、てめぇら俺の連れに手ぇ出してんじゃねぇよ」


超不機嫌な声が割り込んできた。


言うと同時に声の主はナンパ男の手を引き剥がし、背中に庇ってくれる。

目元はサングラスで隠れているため見えないが、眉間に思い切り皺が寄っている。


きっと彼は色つきガラスの下から刺すような視線を男二人に送っているに違いない。



「「す、すみませんでしたっ!!」」


他を圧倒する威圧的な雰囲気に堪えられず、ナンパ男二人は逃げ出していった。


超不機嫌なサングラスの彼と二人取り残された。

さっきまでナンパ男に向けていた目をこちらに向けてくる。



助けてもらったはいいが、にこりともしない彼にびくついてしまう。


もう、なんでこの人こんなに不機嫌なのよぉっ!!

さっさとお礼言って戻ろう。



『あのっ、あっ、ありがとうございます。

それじゃ私はこれで……』


「おいっ、待て。

お前どこ行くつもりだ?」


『……っ!!』


言いながら踵を返し、その場を立ち去ろうとして向けた背中に声がかかる。


ひえ~!!

手ぇつかまれたっ!!


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