私こそ光る☆君 ~ライブツアー編~
『覚えてないの……?』


「……何を?」


『何をって……っ!!』



目の前には眉根を寄せ、怪訝な顔つきをする清龍。


この人、本当にさっきのこと覚えてないみたい。

それなら……。



『何でもないよ』


なかったことにしよう。


何事もなかったかのように清龍の部屋を後にする。

そんな私の背中を清龍が真剣なまなざしで見つめていたことに私は気づかなかった。


この時はただみんなといる時間が楽しくて、無意識のうちに恋愛という言葉を私は避けていたのかもしれない。


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