メガネの裏はひとりじめⅠ
秘密一の巻:メガネ君の素顔
◆グッバイラブ・ハロープリンス
あまり。というより殆ど人が来ることがない校舎裏。
そこであたし、満芭可鈴(ミツバ カリン)は一人で小さく蹲(うずくま)りながらひくひくと大粒の涙をただただ落としていた。
『っうう〜…。三木のバカぁー…。』
ほんの数分前。
今日で付き合ってちょうど2週間経った彼氏の三木正弥(ミキ マサヤ)に登校早々呼び出されたあたし。
三木は学園でかなりのプレイボーイと噂されている男。一つ年上で、女の子にモテるのが頷ける秀麗な顔をしている。
そんな三木に呼び出されたあたしは言われたのだ。
[キスもできねぇ女と付き合ってもなんの価値もねぇからさ。別れてくんね?]
そう単刀直入に切り出され、幸せだった13日間の関係にあっさりと終止符を打たれたのだ。
だけど2週間前。告ってきたのはあたしではなく三木の方からだった。
好きだと。大切にすると。そう確かに三木は言ったのに、何故そんな酷い言われ方をされなきゃいけないのだろうか。
ただあたしは三木が何度も仕掛けてくるキスを拒んでしまっただけなのに。