メガネの裏はひとりじめⅠ
はぁ、とタメ息を形にして吐き出した道留君に巳陵壱翔はすかさず言葉を返し、端整な顔の眉間にはグッとシワが寄せられる。
だけどそんな巳陵壱翔の返されたセリフに道留君も巳陵壱翔と同じ様に眉間にシワを寄せると、「迎えに行くっつったのに爆睡かましてるてめぇが悪ぃ。間に合いそうになかったんだからしょうがねぇだろ」と、真実…であろうことを言った。
う〜ん…。
これは着替える時間くれなかった道留君よりも、道留君が迎えに来てくれるって分かってて爆睡してた巳陵壱翔の方が悪いかな…?
道留君の言う通り、よくよく見てみると巳陵壱翔はオシャレな私服姿の道留君とは違って、ズボンを腰で穿いた黒のスウェットに身を包んでいる。
道留君が言って巳陵壱翔の服装に今頃気付くあたしはどれだけ道留君しか眼中になかったんだよ、と自分自身ツッコンで少し恥ずかしい。
だけど道留君しか眼中に入らなかったぐらい道留君はすんごくカッコいいってわけで…。
巳陵壱翔とまた何か言い合い?口げんか?みたいなのをしている道留君をチラリ、気付かれないよう盗み見てあたしはポポポッと頬っぺたに熱を集める。
言い合いしてる姿もカッコいいです…。
そうやって一人、道留君に頬っぺたを赤く染めてゆるゆると口許をにやつかせていると「じゃあ俺ら行くから」そう耳に声が届いて一緒に掴まれたあたしの手。