メガネの裏はひとりじめⅠ
――…え?
さっきまでの柔らかい声とは打って変わって、道留君には似合わない弱々しいその声。
心なしかギュッと腰に回っている手に力が込められたような気がした。
何で、そんなこと聞くの…?
道留君と二人でデートするの嫌なわけがない。二人だけで、あたしとだけでデートしたいって言ってくれて嬉しかった。胸がキュンとした。
イブと巳陵壱翔から離れた時、あたしがダブルデートしてくれないなんて勝手に思い込んでふて腐れて道留君を無視したから思った?
あたしが道留君とだけでデートするのが嫌だって、そう感じちゃったの…?
『…っ道留君、ごめんねー…。』
「…何それ。答えになってないんですけどー?」
『…デート…。…道留君とデートしたいよぉ…。』
「…ダブルデートじゃないよ?」
『いいー…っ。二人でするー…。』
またポロポロと瞳から零れる涙は頬っぺたに添えられたままの道留君の手を濡らす。
うぅー…っと唸って泣くあたしの肩に顔を埋めていた道留君のそれがゆっくりと上がっていって、かち合った漆黒は嬉しそうに細められた。