メガネの裏はひとりじめⅠ
それから六つ目の駅で降りて、道留君が連れて来てくれた場所は、よく雑誌とかででもデート特集とかで取り上げられている水族館。
雑誌を読みながら、あたしもいつかは彼氏とここでデートしたいと思っていた自分が過去にいる。
それに、道留君が思っていた通りあたしは水族館が好きだ。
だから連れて来てくれて。道留君とこの場所でデート出来て。電車での失態があるから鼻唄は歌わないけどテンションは上々。
早く早く、と苦笑を浮かべる道留君を急かしながら入場券売り場まで来た。…のに。
「可鈴〜。俺がいいっつってんだからいいだろ〜。」
はぁ、とタメ息混じり。ここはエスカレーター。あたしの一段下、後ろに立つ道留君にあたしは『いくないもんっ。』ぷくっと頬っぺたを膨らませていた。
だって、だって!
いつの間にか入っていたホームの中。電車に乗るための切符。今だって水族館の中に入るための入場券。
二つとも道留君があたしの分までお金を出してくれたんだもん。