メガネの裏はひとりじめⅠ
いいの?なんて聞いてみても当たり前に道留君が答えてくれるわけなくて。ていうか死ぬとかやだ。だからカッコつけないで道留君。
十分すぎるぐらいカッコいいよ――…そう言いたいけどやっぱり言えないのがあたしで。
道留君は俯きながら真っ赤に、そりゃもう顔から火が出そうなほど真っ赤になっているあたしを耳元から離れて満足げに見下ろす。
と。
「っつーわけで。機嫌は直してもらったわけだし。」
『(…直ってないんだけどな。)』
「可鈴、行こ?」
『……お金、』
「(まだ言うか。)」
『……でも、お昼ご飯はあたしに払わせてね…?』
「かーりーん?」
『っだって、やっぱ、あたしばっかじゃ道留君に悪いし、…ダメ?』
ゆっくり、ゆっくり。元に戻っていく身体中の熱。だけど戻ってはいってもまだ火照っているのは確か。
ほんとはむちゃくちゃ嫌だけど。切符代と水族館の料金は道留君の優しさに甘えようと思う。
あとでこっそりバレないように返しておこうかな、なんて考えてもいるけど。でも道留君、鞄持ってないんだよなー。