メガネの裏はひとりじめⅠ
やっと丸く納まったあと、再び恋人繋ぎで絡まった指と指に恥ずかしさを感じながら水族館デートスタート。
まず始めにあたし達を出迎えてくれたのは、まるで海の中に居るみたいな感覚を持たせる魚群トンネル。
右、左、上。どこに目をやっても広がっている水の中の世界にあたしは『うわぁー…。』立ち止まって、甘美なタメ息。
綺麗、って言葉しか出てこない。
ぺたり、ガラスに手をくっ付けて、ゆらゆら水中を泳ぐ青色だったり黄色だったり。様々な魚達を見ていると。
『(…ん?)』
あたしと同じで、他のお客さん達もタメ息を漏らして幻想的な世界に目を奪われ、ザワザワしている中。
クツクツと可笑しそうに喉を鳴らす音が鼓膜を擽る。しかも、すぐ傍。上の方から。
もしかして――…と、思って道留君の方に振り向いてみれば。…やっぱり。道留君は口元に手を持っていき笑っていた。
『…何で笑ってるの道留君。』
「え?」
怪訝な表情で道留君を見上げる。え?とか言いながらあたしを見る瞳はどこか楽しそう。
ていうか、あたしをおもしろいもの見たみたいな瞳で見ているのは気のせい?