メガネの裏はひとりじめⅠ
それならそれで、中じゃなくて外で笑ってくれた方がいいのに――…なーんて思ったけど。
笑われたら笑われたでムッとしてしまう奴はどこの誰だ。と自分の性格にあたしです。って。ツッコミ答えて、何だか悲しくなっちゃう。
でも、それを今表情に出している状況じゃなくて。
ある意味そんなことを思える余裕があったんだと妙に自分を感心するあたし。
そんなことを思いながら、道留君のトン、と水槽に触れた人差し指が指す魚に瞳を持っていく。
と。
「あいつ。可鈴に似てる。」
え。最早この1文字しか出てこない。ほほほほんとに言ってるの道留君!?
疑いの眼を向けたあたしは「似てるだろ?」道留君の無邪気で、それでもってキラキラのにっこり笑顔を浴びてしまう。相も変わらず超至近距離で。
くらっと目眩がしたような気がした。慌てて再び水槽へと戻ったあたしは道留君が言う、あたしに似てる魚をじーっと見つめる。
…有り得ない。てかやだ。道留君から見たあたしって、こんななの〜…。