メガネの裏はひとりじめⅠ
軽く、どころではなくかーなーり、ショック。うりゅっと涙が浮かんできてしまった。
ふよふよ水の中をのんびり泳ぐ道留君曰くあたしに似てる魚。身体のメイン色はピンク。あとは黒と黄色が部分部分に少し。
…うん、まぁ。ピンク色はあたしの好きな色だし、そこまではいい。だけど、だ。
なんかこの魚。同じようにふよふよ泳いでいる手のひらサイズの小さい魚の2倍3倍ぐらい大きいし。あたしのだったら両手のひらじゃ足りないぐらい。
何より顔が…。ふぇぇ…。魚に似てるなんて酷いよ道留君〜!!
半泣きになりながらあたしの視界に入る辺りを未だふよふよしている魚をただただ見つめるあたし。
不細工なのは知ってたけど、まさか魚に似てるって言われるなんてぇ…。
『(もう…、泣く…っ。)』
そんなショックを隠しきれないあたしの耳元で不意に囁いてきたのは、甘すぎる溶けてしまいそうな低い声。
「嘘に決まってんじゃん。泣かないで?」
水槽に触れていた道留君の手は半泣きなあたしの鼻をふぎゅっと摘まんできた。…酷い。