メガネの裏はひとりじめⅠ
「可愛い顔してたから意地悪しちゃった。」
キュンと胸が高鳴る相変わらず甘すぎるセリフに低い声。かぁっと頬っぺたが赤に染まってしまう。
だーけーど…!
そんな理由で魚に似てるって言ってきた道留君はほんとに意地悪だ。危うく心がぽっきりと折れるところだったじゃないか。
女の子っていうのは結構、いや、かなり繊細な生き物なんだからね!
…なーんて。
恥ずかしげもなく甘〜いセリフを言ったり、真っ赤にさせるのが得意でも、女の子の肝心なそういうところが分かっていない道留君に言ってやりたいんだけど。
今のあたしには無理。鼻を摘ままれて苦しくはないけど離して欲しいって気持ちでいっぱいだから。
『〜…みち、君〜!』
「ふはっ。可鈴かわい。」
『(道留君…!!)』
離して欲しい、って名前を呼んで、ぺちぺちと鼻を摘まむ方の腕を叩きながら訴えてるのに。
道留君は、無視。マイペースと言えばいいのか。水槽に映っているあたしを見て笑っている。
道留君のバカー!
泣かないでって言ったくせに。離してくれなきゃ泣いちゃうんだからあたし。