メガネの裏はひとりじめⅠ
稀に見る道留君の悪く言えばしつこいこと。
さっきの入場料払う時だって最後は折れてくれたけど、全然引いてはくれなかった。
道留君って意外と頑固者…。
そんなことを思っているとまた問われる。「言えないようなことなの?」尋問…。ここは警察か!
きっと吐くまで聞かれ続ける。そう思ったあたし。
頑固な道留君を引っ張り出したのはあたしだが、厄介なことになっちゃったなー…。
嘘泣きなんかせずに。嘘泣きしたとしてももっと頭の回転が速かったらよかったのに、と自分を悔やんでも仕方がないのが悲しかれ。現実だ。
顔は離されず未だ道留君の大きな手に包まれたままで。
真上からチクチク早く言え吐けよという視線を浴びながら瞳を泳がせていると。
「あ。言えないって、もしかしてエロいこと?」
『(んな…っ!?)』
ななな、なんちゅーことを!!
何か思いついたのかと思えば有り得ない。道留君はあたしのことそ、そそそそんなこと考えてる子だと思ってたの!?
魚に似ていると言われた時と同じぐらいショックである。酷い。