メガネの裏はひとりじめⅠ
「俺、指食べられちゃったしなぁ。」
『(ノー!!)』
それは言わないで欲しかった…。ていうかあれは事故だ。事故だ事故。決してあたしから道留君の指を食べたわけではない。
まだ記憶に新しい数日前の三木にフラれてメガネを外した道留君と初めて話した時の出来事を思いだし、かぁっと一気に羞恥心を煽られる。
その前の有り得ないショックすぎる発言でカッと見開いていた瞳にはじんわりと涙が浮かんだ。
あたしが口を開かないことに怒っていた。…いや、違う。顔を逸らした時から無表情に近い表情だった道留君の今の表情はニヤリと口角が持ち上がった意地悪な表情。
その表情もかっこいい。…が!
『(絶対楽しんでるなぁー…。)』
今は憎さ百倍である。くっそー…。道留君のバカバカ意地悪!おたんちん!
キッと出来るだけ迫力が生じるように(涙目のため)鋭く意地悪な道留君を睨んでみる。
そしたら、道留君はフッと表情を緩めた。
「可鈴って超単純?」
『ん、な…っ!』
「そこが可愛いんだけど…。あんま信じすぎもダメだよ。」