メガネの裏はひとりじめⅠ


触れられているだけでもどうにかなっちゃいそうなのに。

さらに王子様はあたしを壊したいのか、甘い口調で真っ黒な髪をふわりと宙に揺らし、小さく首を傾げてそんなことを口にする。


当然、それに顔から火が噴いちゃうんじゃないかってぐらいボッと危うい音を立てて耳から顔全体を真っ赤に染め上げるあたしは卒倒寸前ギリギリ。



『(ふ、不意討ちすぎる…!)』



この熱は当分の間、冷めることはないだろう。


それほどまでに熱を帯びる頬っぺたを摘まれたまま、卒倒しそうになるのをなんとか耐えていれば。


熱々の頬っぺたを摘まんでいる指もおもむろにあたしから離れていった。



「さて、そろそろ戻るかなー。」



離れて、王子様は少し気ダルそうにそう言うと。

あたしの目の前でしゃがみ込ませていた身体をよいしょ、と立ち上がらせていく。


そして、完全に立ち上がれば。

しゃがみこんでいたから分からなかったけど、絶対180センチは越えてると見た長身が影を作る。


細身の、スラッとした体型。背も高いし、腰の位置だって高い。これぞまさしくモデル体型だな。

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