メガネの裏はひとりじめⅠ



『み、道留君…。』

「んー?」

『あ、あのっ、さっきの…、』

「さっき?…あぁ、何言いたかったの?」

『…っあたし、も、ね?一緒、なの。』

「一緒?」

『…さっき、の、嘘泣き、…です。』



区切り区切り。単語を並べて言いたかったことをストレートに告げたあたし。



やっぱり言葉を選んで言うのはあたしには無理だった。というよりも、道留君が自分を嘘つきだと言った時にあぁそうだと思った。



道留君が嘘つきなら、あたしも嘘つきだって。



ごちゃごちゃといっぱい言葉を考えても、嘘の上に誤魔化しを乗せてしまえば結局は"本当"が消えてしまう。



それは嫌で。だけど言い訳に聞こえるだろうけど、少し理由を付け足させて欲しくて。



『そ、その、指を離して欲しかったから…。』



道留君の指が絡む自分の左手に力が入る。キュッと握れば、キュッと握り返してくれた道留君。



そんな小さなことでもキュンとなる胸。



「…っふはっ。言いたかったことって、それ?」



てん、てん、てん。

ほんの僅か。沈黙が訪れたあとにそれを吹き出し壊して、可笑しそうに再び喉を鳴らし出した道留君。な、何で笑うの!?



嘘泣きだったってことをカミングアウトして、てっきり怒らせてしまうとかなりビクビクしていたあたしは予想が外れてバッと顔を上げる。


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