メガネの裏はひとりじめⅠ



あたしが謝ってから黙りこくってしまった道留君。



どうしていいか分からなくて。少しずつ焦りが生まれてくるあたし。



別にあたしが泣くとこじゃないのに。道留君の方が泣きたいはずなのに。瞳に涙を浮かべてしまうあたしはほんとに子供だ。



泣いたら道留君がまた困るのに…。涙は浮かんできてしまう。零れ、る――…。



「これは嘘泣き?」



…………え?



鼓膜を擽った低音にぱちくり。瞬きを一回だけして道留君を見やる。



と。

さっきまでどんよりしていた道留君はどこへやら。にやにやと悪戯な笑みを浮かべてあたしを見下ろしている道留君。



ま、まさか…!



『う、そ…、』

「じゃないよ。ショック受けたもん。」

『ふえ…。』

「可鈴、」

『っこ、れは、マジ泣き、だよ〜…。』



ふえーんって、ぽろぽろ涙を落としながら泣くあたしの頭を「あはっ。可鈴かわい。」そう言いながらぽんぽん。優しく撫でてくれる。



疑った嘘。だけどほんとにショックを受けてしまったと言う道留君に涙腺は一気に崩壊。



公共の場で、高校生にもなった人間が思いっきり泣いてるなんて恥ずかしい他ない。


< 133 / 281 >

この作品をシェア

pagetop