メガネの裏はひとりじめⅠ



…っ泣くな。泣くなバカ可鈴!



せっかく道留君とのデートなのに。あたしは駅からずっと泣いてばっかりで、道留君を困らせることしかしていない。



こんな彼女、嫌だよね…。デートだって絶対楽しくないだろうし…。



きっと道留君、こんな楽しくないデートにも。泣いてばっかりのあたしにもうんざりしちゃったんだ…。



勝手にヤキモチ妬いて恥ずかしがって。道留君を心配させるような態度を取ったのは自分自身で。



何でもないと嘘をついてタメ息吐かれるのは自業自得なのに。それでも吐かれたタメ息に傷ついたりしているあたしって、ほんとに自分勝手。



道留君がうんざりする理由も分かる。



分かる、けど――…。まだ道留君と一緒に居たいって気持ちが胸に溢れてる。嗚咽混じりに道留君を呼んだ。



ら。

「可鈴って手のかかるお子ちゃまだな。」



意地悪な口調でそう言うバリトンが耳のすぐ傍で聞こえて。身体はギュッと横から包むように抱き締められた。



『…っみち、るく、』

「うん?」

『…っ、ごめんなさいぃ〜!』

「!」


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