メガネの裏はひとりじめⅠ



どうしよう。やばい。どうしよう。無理やだやばい。



同じ言葉がぐるぐる頭の中を占領して回る。目頭が、熱い。



息が唇にかかり、触れるまであと僅か2センチメートル。ピカピカ。あたしの危険お知らせランプが光だす。限界は、越えた。



[(…無理…っ。)]



ビクッと肩を上げて、あたしは身を後ろに引いてしまったんだ。




――…と、そんな感じで。


道留君のキスをまたしても拒否してしまったあたし。



身を引いたあたしに気づいた道留君はすぐに距離を開けてくれてぽんぽん、頭を優しく撫でてくれて。



その優しさに胸がキューッと苦しくなるぐらい締め付けられたあたしは。有り得ない。酷い。最低。の三拍子。



わがまま言って、受け入れてくれなかったら拗ねて。でも道留君の行動には拒否を示す。



こういうのを自己中って言うんだよね…。しかも階級は最高クラス。



『はぁああー…。』



自分の有り得なさにもう死にたい。ちらりと道留君の席を見て、さらに重いタメ息。



デートした土曜日、その次の日曜日が明けた今日。なんのイジメか道留君は学園にまだ姿を見せていなかった。



ついでにいうなら、前の席のイブもまだ来てなかったりする。メールを送っても返事は一通も返ってこないのだ。


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